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生まれてこの方、
冷たいコンクリートの壁に囲まれて
生きてきたような気がする
東京生まれ、東京育ち
幼少期に自然の中で遊んだ記憶がほとんどない
未だ脳裏に焼き付いているのは、
地下迷宮を駆ける灼熱のメトロ
薄暗いトンネルをみつめる前照灯の灯りと、
レールを軋ませる甲高い金属音だ
どろんこになって遊ぶような
アナログな体験を知らない一方で、
映像や数値といったデジタルな情報には
むしろ過剰に触れていたとおもう
首から下(身体)は日々使わないまま弱くなる一方、
首から上(頭)ばかりが重たくなった
ぷかぷかと「生首」だけが、
無機質な記号の海をたゆたう
暮らしに不自由などなかったが、
漠然と生きづらさを感じていた
いつしか大人になって、
この町を出ようとおもった
地に足の着いた暮らしをしようとおもった
自然の中で、
手に職をつけるべく職人の世界を志し、
御縁あって「庭師」の世界に足を踏み入れる
鎌倉の造園屋に弟子入りした
最初の一年はひたすら庭の掃除をした
掃除をしながら、
今まで知らなかった自然の世界にみせられた
植物、動物、鉱物、土壌、天候、生態系・・・
すべてに感動した
肉体労働はこたえた
雨の日も風の日も
一日中、ひたすら穴を掘り続けた日もある
一日中、たった一本の樹の上に居た日もある
割としんどかった
それでも、庭仕事のあとの飯は格別うまかった
陽が昇れば現場に向かい、
陽が沈めば家路につく
そんな一日を何度も何度も繰り返していくうちに、
徐々に身体も慣れていった
ところで、
庭師の仕事は単純な肉体労働だけではない
自然科学に関する知識は当然求められるし、
さらには歴史、宗教、芸能といった
文化的な教養も必須だったりする
デザインやアートの才能や技術もまた然り
その意味では、
首から下だけでなく、
首から上も鍛えられる
この上下のバランスが整う感覚は、
他の職業ではなかなか得難いものだとおもう
気が付けば、
都会の暮らしで荒んでいた肉体も
すっかり回復していた
頭と身体がつながって、
生れてはじめて、
自分の両足でこの大地に立っている感覚をおぼえた


「…生きてるっていいもんだな」
心の底からそう想った
そしてこの先も
「この道でいこう」と心に決めた
5年の修業を経て、
個人の庭師として独立した
大好きなことを生業にできて
本当にありがたいなあとおもう
さらに、とあるシェアハウスの庭先に
セルフビルドで小屋を建てそこに住み始めた
庭をつくるだけでは飽き足らず、
庭に暮らしてしまったのだ
もはや自分にとって庭は、
職業というより、生き方である
人生の中で今が一番楽しい
庭師になって
 ほんとによかった。
田中憲
  • 1993 東京出身 双子座
    2015 荒井造園(神奈川県鎌倉市)
    2018 西海園芸(長崎県波佐見町)
    2020 個人事業主「げべ」として独立(神奈川県鎌倉市)


    ※「げべ」という言葉に特別な意味はありません。

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